転職を考える理由
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特別な事情が無ければ、多くの人は學校を上がって就職するが、最初の就職先でそのまま定年を迎える人と、転職してしまう人といる。
転職しない理由は、自分で満足しているからか、満足していないけど飛び出すほどの気概が無いからか 。
【石の上にも三年】我慢してでも同じ企業に長くいれば、その企業風土、企業文化の中で、後輩を迎えて、それなりに自由に会社を歩ける優位性も備わって来る。会社のリソースを利用するノウハウが取得できる利点もある。
勿論、社会の変化の中で、会社も変わって来るから、役割によっては変化を余儀なくされる。役割変更、配転、場合によっては転勤、出向もある。まあ、それでも、所属する企業は同じままと言う扱いになる。本籍は変わらない。
転職を考える理由は人それぞれが、大別すると次の3つ。
- 仕事
- 環境(人間関係・ロケーション・健康管理など)
- 報酬(給与、手当など)
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退職金:
転職しないケース。仮に、
- 初任給(22歳):A 10万円
- 最終給(60歳):B 50万円
- 期間:C 38年
- 平均給与30万円×期間38年×企業定数2*⇒¥2,280万円
- *長く務めるほど割り増し定数は大きく設定される。
- 平均給与もここでは中間値としたが、普通に成長する企業と個人なら75%経過時の給与程度(40万円)になるが、その場合の退職金は⇒¥3,040万円
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40歳で転職すると、
- 40歳の初任給:30万円
- 定年の最終給:50万円
- 期間20年
- 平均給与40万円×期間20年×企業定数1.5*⇒¥1,200万円
- *長く務めるほど定数は大きく設定される。
- 平均給与もここでは中間値としたが、普通に成長する企業と個人なら75%経過時の給与程度。45万円。⇒¥1,350万円
40歳までの退職金は、
- 初任給:10万円
- 最終給(40歳):30万円
- 期間:18年
- 平均給与20万円×18年×企業定数1.0*⇒ ¥360万円。75%(25万円)補正を入れて、⇒¥450万円
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40歳までと40歳からと両方を合算して⇒¥1,800万円。転職しないケース(¥3,040万円)には全然追いつかない。
極端な事例に見えるけど、退職金の基礎数になる基本給、期間は年数でなく月数、割り増し基準など、会社ごとに異なるため、微調整は必要だが、概略はこの程度。
転職で給料が上がれば退職金も上がることになる。逆の場合は退職金の目減りは相当悲劇的になる。
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退職金の企業定数(割り増し定数)を設定しない企業もあるが、多くは30歳までの転職(中途採用)にはハンディを付けないが、それ以上の場合は一定のハンディを置くところが多い。概ね10年刻み。
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退職金を頼りの老後/定年ライフなど、年齢が若い時は誰も想定しない。定年間際になって老後資金問題が現実味を帯びると、僅かな金額でも重要な意味を理解できる。多分。
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リスク&オポチュニティ
(リスク)
転職を繰り返すと、
- 退職金も期待できない。
- 社内の人脈が作れない。
- 信頼に疑問があるから、だいじな仕事を任されにくい。【事業継続管理】
- 相当の実績・力量が無ければ、新しい組織(人)を動かすのは容易でない。
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(オポチュニティ)
逆の発想も出来る
- 成果を出してポジションを上げれば高額の報酬も得られる。
- 新しい人脈が作れる。
- 新規事業などへのチャレンジがしやすい。失うものが無い。
- しがらみのない組織運営ができる。
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自分の能力がサラリーマンの平均(仮に50点として)よりはるかに高いレベル(75点以上)と信じるなら、転職は何のハンディキャップにもならない。転職はむしろチャンスを広げる手段になっていく。【貪欲な転職】
キャリアの中で確実に実績を上げ、能力を積み増しているなら、逆に、スカウトされる時代。再就職で苦労はない。学歴・就職先・業務経験・実績など履歴書も花盛り(?)。
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リストラ・ケース
Restructuring ( リストラクチャリング ):組織再編・再構築など
廃止または縮小する部門や業務に従事する社員を解雇するケース。実際は配置転換などを打診するが不調な場合に解雇となることがある。大企業の事業再編など規模が大きいとニュースとなって報道される。
再就職
この場合の再就職は、競合他社、関連事業者など、それなりにニーズがあるし、会社側も再就職の後押しをするので、比較的スムーズ。場合によっては職場が丸ごと移籍するようなこともある。勤務年数に対する優遇措置(遺跡前の年数をカウント)を出すケースもある。
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リストラ擬き
リストラと言っても、単に本人の能力・業務適格性に問題が ある場合も、配転や人事預かりなどを経由して退職を余儀なくされる場合も、広義のリストラ・ケースとされる。
最も多いのは人間的な衝突。健全であれば、相互に研鑽して高みへ導いてくれる。不幸な場合は、一方または双方がネガティブなストレスを受けて、やがて鬱病(鬱症状)を発症させて休職に追い込まれ、結局退職するケースも。
人間的な衝突はなぜ発生するか。単純に言うなら職場あるいは業務関係における力学が変わるから。
時代のチャレンジ
就職先の職場環境が自分に合っていないと思うと転職を考え、チャンスに恵まれれば新天地に移っていく。職場環境が自分にあっていると思えば継続して働く。しかし、現実は甘くない。会社/職場は時代のチャレンジを継続的に受けるから、自分たちも常なる変化を余儀なくされる。最初はベストマッチでもその関係は長く続かない。
ベストマッチを続けるために大切なことは、時代の要求に合わせて自己変革を続けること。簡単に言えば適合性と言うことになる。
適合性が無ければ、転職してもまた時代のチャレンジを受けて、次の転職に追い込まれる。
責任感・プライド・コミュニケーション能力・業務遂行能力・自己管理能力のバランスが崩れる場合は、 個人にとっても会社(職場)にとっても不幸と言うか不健全だ。
再就職
保守的な人事では、協調性の要件を前面に出して、このカテゴリーの人材獲得には余り積極的ではない。それでも、一定の人材を確保する必要があるから、 念入りにチェックすることになる。ワーカーレベルの採用は比較的スムーズ。油断すると正社員採用でないこともある(契約社員、派遣社員(本籍を派遣会社に置く)など)。
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一般公募中途採用
キャリ形成を視野に入れたチャレンジャーと、時代適合性に課題を残す不器用な人、これは悪い言い方をすると所謂トラブルメーカーになりがちな人だが、そう言った玉石が混在する。
ワーカーなら職歴・学歴などから、スムーズに採否判断が付くが、戦略的ポジションでの採用は、影響が大きいため採用ミスは許されない。本物を見極める必要がある。
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これまでシンプルな構成で転職を眺めてみたが、個々のケースでは、様々な要素が絡み合って、転職希望の本人が、正しく自分を理解していないことがある。
最低でも、以下の内容は明確にしておきたい。転職と関係なくサラリーマンの基本だろう。
- 今後のキャリア形成プラン
- キャリア形成ファクト(実績):役割遂行能力・成果物、企画・提案力、指導力・チームワーキング
- 応募先の企業が新たなキャリア形成に有効と判断した理由
- 応募先企業に対する貢献見通し
- 応募先企業への期待
- 能力開発・自己啓発・コミュニケーション能力・柔軟性
- マネープラン(必要な年収・副業・資産形成など)
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セカンドライフプラン
副業問題
長寿化(人生100年時代)を踏まえれば、60歳定年が仮に70歳に伸びても、定年が廃止になっても、定年後のプランが必要。継ぐの仕事に就いて働いてもいいし、趣味的な世界、社会貢献、
転職する人は、見方を変えれば、企業への執着心は少ない一種の自由人。セカンドライフプランは抵抗が無いだろう。既に、副業、あるいは配偶者の仕事として着手済みかも知れない。
先に述べたように転職する人の退職金は期待できないから、老後資産形成も自らが意識して取り組む必要がある。
居住問題
最も重要なことは拠点(住居)問題。持ち家でも、賃貸でも、都会では、相応の収入が見込めなければ苦しい。低所得者向けの都営住宅に当たれば、居続けることができるが、普通の賃貸では無理。
資産形成が高給取りのレベルでなければ、老後は田舎に引っ込むのが健全。その意味では、地方に足がかりを作ることも大事なこと。転職組でなくても基本的な事情は同じだが、転職を繰り返す人にはより深刻な問題になる。
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転職する理由
- 自分のプランに沿って主体的にチャレンジする転職なら、それは良い転職だ。
- 時代のチャレンジを克服できず、余儀なくする転職なら、それは悪い転職だ。
- 転職する人、転職を繰り返す人、自分の転職の理由を正しく理解することが必要。
- 悪い転職はしてはいけない。悪い転職を繰り返すのは絶対にいけない。自分が蟻地獄に落ちた蟻のように無残にもがいているだけと気付かなければいけない。
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転職しない理由
何が主題かは既に理解できたと思う。誰かが転職を考えた時に、多くの場合、それは正しい問題解決の方法ではないと言うことだ。ものすごく優秀な人が次の戦場に向かう転職でなければ、時代のチャレンジに負けた奴の敗走でしかないからだ。どの企業に移っても時代のチャレンジを受けない企業は無い。敗走を繰り返しても何も残らない。
時代を超えるテーマ設定と変化を克服する自己啓発と能力開発。自分に課されたミッションを明確に意識すること。もう転職どころではない筈だ。
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